飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~


「そうか? さっきは自分から積極的に俺を抱きしめたりしたくせに?」

 そう言われてしまうと何も返せない、確かに仕返しのつもりで櫂さんを抱きしめてしまったし。
 でもそれは自分からだから平気だったわけで、櫂さんからされてしまうのとは全然違う。

「それでも、恥ずかしいです。だから、あの……」

 離してください。そうお願いするつもりだったのに、一瞬で視界が変わって自分の目に映るのが部屋の天井と櫂さんだけになった。

「え? あ、あれ……?」

 ソファーにさっきの体勢のまま押し倒された、そう気付くまでに随分時間がかかったかもしれない。私の視線の先には楽しそうな櫂さんがいて、あらためてその距離の近さに胸がドキンとなった。

「今度は千夏がドキドキさせられるだよな? それじゃあ、思いっきりときめいてもらおうか」

 そう言って目を細めて微笑む櫂さんはいつもとは別人のようだった。その妖しい色気に免疫のない私はクラクラしてしまう。
 
「て、手加減! 手加減をしてください、私は初心者なんですから!」

 そんな私のお願いを櫂さんは笑顔で知らんぷりすると、私の腰に回していた手をもぞもぞと動かし始めた。
 え? ちょっと待って、櫂さんはいったい何をするつもりなんですか?


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