【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
「れ、レナちゃん。それじゃあまるでやきもちみたいな…アハハ。」
顔を上げたレナはむぅっと唇を尖らせた。 大きな瞳がほんの僅かに赤くなっている。
「今日は、あんたに返事を言おうと思って誘ったの。」
「え?」
「告白の返事!あれから毎日のように考えたの」
「ああ…」
レナと俺とでは流れる時間の速さは違うだろう。 だから返事は半年先でも構わないと思っていた所だ。
だから、まさかこんなに早く返事を貰えるとは夢にも思っていなかった。 しかもこのあからさまな態度を見れば、素敵な勘違いだってしたくなるものだ。
「それで?」
思わずごくりと生唾を呑み込んだ。
シンと静まり返って、居酒屋の陽気な音楽と周囲の人々の喧騒しか聞こえない中
レナはジッと、あの猫の様なアーモンド形の瞳で俺を見据えた。
「つ、付き合ってみようかなあ…って…」
視線は段々とテーブルの方へずれていって、もじもじとこちらを伺う様に上げたり下げたり。
その姿は人の機嫌を窺う猫のようだった。