【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング

「れ、レナちゃん。それじゃあまるでやきもちみたいな…アハハ。」

顔を上げたレナはむぅっと唇を尖らせた。  大きな瞳がほんの僅かに赤くなっている。

「今日は、あんたに返事を言おうと思って誘ったの。」

「え?」

「告白の返事!あれから毎日のように考えたの」

「ああ…」

レナと俺とでは流れる時間の速さは違うだろう。 だから返事は半年先でも構わないと思っていた所だ。

だから、まさかこんなに早く返事を貰えるとは夢にも思っていなかった。 しかもこのあからさまな態度を見れば、素敵な勘違いだってしたくなるものだ。

「それで?」

思わずごくりと生唾を呑み込んだ。
シンと静まり返って、居酒屋の陽気な音楽と周囲の人々の喧騒しか聞こえない中
レナはジッと、あの猫の様なアーモンド形の瞳で俺を見据えた。

「つ、付き合ってみようかなあ…って…」

視線は段々とテーブルの方へずれていって、もじもじとこちらを伺う様に上げたり下げたり。
その姿は人の機嫌を窺う猫のようだった。

< 109 / 295 >

この作品をシェア

pagetop