【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
「あの二人の出会いの話。うちのお父さんがルナがストーカーに付きまとわれていて困っていたって話でしょう?」

「うんうん。それで白鳥さんが身辺警護としてルナちゃんの警護を秘密でしてたんでしょう?
しかもチェリーチョコレートカンパニーの社員の振りして。
お父さん、やる事のスケールがでけーなって。 まあ、ルナちゃんの事がそれ程大切だったんだろうけど」

「…そのストーカーって奴。 私ね……」

思い出したくもない、それは醜い過去だ。  でもどうしてか話さずにはいられなかった。

こういう事実を隠して海と付き合うのは狡いと思う。 だって海は私の事誤解しているようだし。 私はそんなに清い女性ではない。

駅からマンションまでの道のり。 あの日車から見たのと同じ、夕焼けが落ちようとしていた。

海はその場で足を止め、不思議そうに眼を丸くしてこちらを見つめた。  その真っ直ぐな瞳が、少しだけ苦手だ。 私の狡さや愚かさを全て見透かされているような気がして。

「ルナと北斗の婚約の話はお父さんがルナにする前から聞いていたの。
でも私北斗の事が好きだったから、どうしてもその結婚話は邪魔したかった。
だからルナの結婚を辞めさせろって怪文書を送ったりもしたの。 馬鹿みたいでしょ。北斗に全然相手にされていなかったのに、ただの嫉妬。
それであいつが身辺警護としてやって来て、全部私が裏で手を回してた事に気づかれちゃった…。  だから白鳥翔が苦手っていうのはある」

< 123 / 295 >

この作品をシェア

pagetop