【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
「ドラマ見るんだーー」
「そうそう。今日の22時からやってるドラマがすごぉーくドキドキするの!」
「それって大滝昴が主演の?」
「そうなの!大滝昴くん大好き! 意地悪なお医者さんの役なんだけど、キュンキュンしちゃうの。」
「へぇ、レナちゃんが恋愛ドラマを見てドキドキしたりキュンキュンしてるの超可愛いんだけど」
「だってすごくいいのよ。 お互い好き合ってるのは明白なのに、すれ違いばかりで素直になれないの。
それでね、ライバルが出てきてもどかしくってモヤモヤして
ほんとーにいいドラマなんだから!」
ついつい力説してしまった。
そんな私の横でぷぷっと海は小さく笑う。
嫌だわ、私ったら。 アラサーにもなる女がドラマ如きでこんなに騒いで、きっと馬鹿にされるに違いない。
けれど海は全然馬鹿にした素振りを見せずに、目を細めたかと思えばやんわりと私の頭を撫でるのだ。
この間もそうだったけれど、海に触れられるだけで胸がドキドキする。 まるでドラマを見てヒロインに感情移入をしている時のようにキュンキュンと甘い音を立てて行くんだ。
自分の体ながら不思議でしょうがない。 犬のような真っ黒でビー玉みたいな瞳に微笑みをかけられると、まるで自分が自分じゃなくなってしまうみたいなんだもの。
こんなの、恥ずかしい。