【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
「一緒にドラマ見てキュンキュンしたい所だけど、あんまり遅くなってもね。
さって、俺も家に帰ってドラマ見るかなー」
「え?帰っちゃうの?」
立ち上がろうとした海の服の袖を思わず掴む。
驚いたような表情でこちらを見下ろす海を見て、しまったと思った。
私は何を大胆な事を言ってしまったのだろう。 これじゃあまるで’帰らないで’と言っているのと同じだ。
いつか馬鹿にしていたあの漫画のあざといヒロインと一緒ではないか。
「そう言われると、帰りたくなくなっちゃうんだけど…。
もしかしてレナちゃん、もっと俺と一緒にいたい?」
再びソファーに座り直した海は、真剣な顔をしてジッとこちらを見つめる。
ゆっくりと右手が頬に近づくと、私の髪を撫でる。 どうして恥ずかしくて堪らないのに、目が離せない。
暑くもないのに体中に熱が集まってきて、頭がクラクラする。 いつもみたいに悪態の一つでもついてこの手を振りほどけたのならば…。
体が硬直して動かない。 海は真剣な顔をしたまま、顔を近づけて来る。 ぎゅっと目を瞑ると、頬に柔らかい感触が充たる。
「き、きゃああ!!」
頬にキスをされた。 そう悟ると途端に恥ずかしさがこみ上げて、海の体を両手で突き飛ばす。