【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング

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金木犀の香りが街中を包み込み、本格的な秋がやって来た。

夏も好きだけど、秋も綺麗だから好きだよ。 そう言った海と今度一泊で温泉旅行をしようと誘われた付き合って二ヵ月目。

そういえば父と母も秋は紅葉を観に温泉旅行に行くなあ、と思い出した。

小さい頃は私とルナも連れて行ってくれたけれど、大人になってからは二人で仲良く旅行をしている。

私も海と将来そういう夫婦になれたらいいなあ、と思い始めた矢先の出来事だった。

珍しく父から実家に呼び出しされる。 海は今日急遽休日出勤になってしまったが、夜からは一緒にご飯を食べる約束をしてた。

だから早く切り上げる予定だった。

ルナがお嫁に行ってからというものの、たまに父から実家に帰って来ないかと呼び出される事があった。

ずっと実家暮らしだったルナがいなくなったのは寂しいのだろう。 ルナが家を出て自動的にロミオやジュリエット達も居なくなった。

冗談で私に実家に帰って来ないかと言ってきたりもしたけれど、実家に帰るなんて冗談じゃないのでそれはスルーしていた。

今日も寂しくて私を呼び出したに違いない。  たまには実家に家族サービスもしなくてはいけない。 母の好きなケーキ屋さんでケーキを買って実家に帰って早々父は上機嫌で、私へ話を持ち出した。

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