【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング

父の顔色を窺い、母の顔色も窺う。
そして一番に海の事を考えた。

私は勝手に海と結婚したいと盛り上がっていたけれど、海はどうだろう?

勝手に結婚を考えているなんて、25歳の彼にとって重いのではないのだろうか。 それに私と結婚するという事はチェリーチョコレートカンパニーに携わって生きなくてはいけない。

海は阿久津フーズファクトリー。北斗の父であるおじ様にも期待されているという。 それに海は今の社長室の仕事を気に入っている。 大体入社して三年目で社長室に抜擢されるなんて、これからに期待されているに違いない。

……海の未来を縛れない。
けれど私はチェリーチョコレートカンパニーに縛られて生きる事しか出来ない。

深く考えないようにしてきたけれど、これってかなり重要な問題なのではないか。 そもそも海が付き合って二ヵ月の私との未来を真剣に考えているとは思えなくって。

「私は、まだそういうの考えていないかな?」

「けれど、お前はうちの会社の跡取りだ。」

「ええ、それは分かっているわ。 でも今は仕事も楽しいし、結婚したいって気持ちじゃないの」

何とか誤魔化したけれど、父は再び納得のいかない顔をした。 そこに再び母のフォローが入る。

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