【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
「禿げたなんて言わないの。」
「禿と言えば社長だけどさー…」
「あらおじ様をそんな風に言っちゃ駄目よ。」
「俺、絶対ほっくんも将来禿ると思ってるんだ。 どちらかといえばお母さん似だけど、禿げは遺伝だって言うし。
だってほっくん髪の毛柔らかくて、超猫ッ毛だし! それが俺は心配」
俺の顔を覗きこむレナは、アーモンド形の瞳を線のように細めて大笑いし始めた。
レナの膝の上からその表情を見て、もっと幸せな気持ちになった。 この人を大切にしたい。幸せを貰った分だけ返したい。
レナのお腹にぎゅっと抱き着くと、柔軟剤の優しい香りがする。 また心が癒されてゆく。
「私は阿久津のおじ様は素敵な人だと思うけど。」
「俺だって思ってるよ~ん。大学の就活中に一番初めに内定を貰えた会社だから入社しただけだけど、阿久津フーズファクトリーに入れて感謝してるもん。
仕事はやり甲斐があるし、会社の雰囲気もすっごく良いし。
そう考えたら俺ラッキーって。」
「……そう。やっぱり海は阿久津フーズファクトリーの仕事が好きなのね……」