【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
「レナちゃん、どうしたの?」
「どうしたのじゃない…。これどういう事よ?!」
顔を上げた彼女は、目をつり上げて明らかに怒っている表情と声色だった。
突き出された携帯の画面には、ラインがメッセージを受信していた。
全文表示されているわけではない。 だからこそ誤解を招く文章に見えるのは、仕方がない事だった。
タイミング悪く俺の携帯にメッセージを送ったのは弓香さんだった。 名前の欄に「塩崎 弓香」とはっきり表示されている。
そして途中まで表示されているメッセージは「今日は二人きりで飲みに行けて楽しかった。 相馬さんといると若い頃に戻った気持ちに…」と誤解をしてくれと言わんばかりの所でメッセージは途絶えている。
背筋を冷たい汗がスーッと流れて行くのと同時に、言い訳を口にしていた。
「ちが、それは誤解…!」
「今日は禿げのおっさんと接待飲み会って言ってたわよね?!」
「ちが……」
「塩崎 弓香って海を気に入ってる料理研究家の女性よね?!この間海の事を気に入ってるって言ってた!
どういう事?!私に嘘をついて二人で飲みに行ってたって事?!
何もやましい事がないなら隠す必要はないわよね?!」
「ちがう…。レナちゃん、落ち着いて…話を聞いて!」