【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
レナが一回怒り出すと止まらない性格なのは、何となく理解していた。 何を弁解した所で弓香さんと二人で飲みに行ってた事。レナに嘘をついた事に変わりはない。
さっきまであんなにいい雰囲気だったのに、まるで犯罪者を見るような軽蔑した視線を投げかけた。
「嘘をつかれる事が大嫌いなの…!私の気持ちも考えずに他の女とちゃらちゃら飲んでて楽しかったでしょうね?!
あんたの顔なんてもう見たくない!出ていってよ!出てけー!」
レナの雷が俺の真上に直撃して、有無を言わせずマンションから追い出される。
嘘をついた罰が下ったのだと思った。
何度扉を叩いても、レナは取り付く島もないと言った様子で沈黙を守る。
ああああ…!こんな時に俺は何をやってしまったのだ。 せっかくレナの信頼を勝ち取り、心を開いてくれたのに。
誇り高き猫はそうそう簡単に人に心を許さない。
けれど許したら最後。甘々でとても可愛らしいのだ。 けれど小さな嘘で失った信用は中々取り戻せない。 肩を落として帰宅する自分のマンション。
帰り道。真ん丸の月だけが俺を見下ろしていて、秋の冷たい風が吹き抜けて行った。