【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
ジュリエットの頭を撫でながら、白鳥翔はニヤニヤと軽薄な笑みを浮かべる。 どうやらこの状況を喜んでいるようだ。
他人の不幸は蜜の味か。 …相変わらず性格の悪い男だわ。 この悪魔に比べ、天使のようなヒナはキャッキャッと手を伸ばし私へ笑いかけてくれる。
「ヒナー……本当に可愛すぎる…!子供ってどうしてこんなに可愛いの?」
「そりゃあー俺に似てるからな。 レナ子供好きだよなあ。 作っちまえばいいじゃねぇか、あの好青年と。
俺あいつ嫌いじゃねぇぞ。あいつは性格が可愛らしいからな」
「作っちまえばいいぞなんて軽々しく言わないでよ。不潔な男だわッ!」
ヒナをぎゅっと抱きしめるとミルクの甘い香りがする。 どうして赤ん坊ってこんなに良い匂いなんだろう。
どうかヒナだけは白鳥翔のようには育たないで貰いたい。 このまま天使のようなルナそっくりな女の子になって欲しい。
「ふ、不潔って……俺はばい菌かよ…」
鋭い眼光がこちらへ飛んでくるか、それは無視をした。 今は白鳥翔と喧嘩をするほどの気力は持ち合わせていないのだ。
何を言われてもツーンと顔を背け無視を決め込む私に、白鳥翔は少しだけ肩を落として「…ジュリエットとヒナと散歩に行ってくる…」と言いマンションを出て行った。
その様子を見てルナはクスクスと笑う。