【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
テーブルに置かれた紅茶からは、花のような良い香りがした。
白鳥翔達がマンションを出て行った後珍しくキャットタワーから降りて来たロミオは、少し離れた場所からビー玉みたいな瞳でこちらをジーっと見つめていた。
「ふ、ふふ…。レナちゃん、翔さんったらレナちゃんに無視をされるから落ち込んでしまったようだわ。」
「だって…!あいつと話してるとムカつくし余計な気力を使うんだもの!」
「あれでレナちゃんと話すのは楽しいみたいです…。翔さんはちっとも素直じゃないから口が悪くなってしまうけど、レナちゃんを心配してるんですよ。
今日だってレナちゃんがうちに来るって言ったら、海はどーしたってずっと言ってて。
意地悪な事を言うって事はそれだけ気を許している証拠でもあるから、あまり気を悪くしないでね」
そういえばさっき結構落ち込んでいた。 …白鳥翔の気持ちは理解出来なくはない。
私も彼に負けず劣らず素直ではない性格だ。 だからこそ温厚で優しい海にはキツイ事ばかり言ってしまうし、たまにそんな自分を省みたりする。
ルナの淹れてくれた紅茶は甘くて美味しかった。 花の香りが柔らかく鼻を突き抜けて行く。
いつでもニコニコしてて、温厚で優しいレナのような安らぐ香りをしていた。 私もルナのような性格だったら、海と喧嘩せずに済んだかもしれない。
「…ルナも……白鳥翔と喧嘩したりするの?」