【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング

海がいない毎日が、こんなに寂しいなんて。

「はぁー……」

思わず大きなため息が漏れると、頬杖をついた北斗がくすりと笑う。 まるで私の心を見透かしたように薄い唇を開いた。

「海が毎日会社でも落ち込んでいるようなんだ」

「海が?」

「まあ、海は仕事に関しては器用なタイプだから同僚とかにはあんまりそういうの見せないけど
俺よく海を観察してるから分かる。
話を聞いたらレナと喧嘩したんだって、自分が悪いんだけどどうしたらいいか分からないって」

「海のお喋り……」

唇を尖らせ拗ねた素振りを見せると、北斗はまた優しく笑う。

「お喋りだから黙らずにはいられなかったみたい。
塩崎先生とは何もないよ。 彼女がえらく海を気に入ってるのは阿久津フーズファクトリーでも有名な話だけど、海って塩崎先生に限らず取引先の人には気に入られるしさ
でも塩崎先生は結婚もしてるし、娘さんもいる。あの日は家族の事で落ち込む事があって、ついつい相馬さんを食事に連れまわしちゃったって
後で仕事で会った時も言ってたよ。 相馬さんはどんな下らない話でも真剣に聞いてくれるからついつい話を聞いてもらいたくなるって」

「そんなの、分かってる……」

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