【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
私だって海と塩崎先生の間に本当に何かがあったのではとは思っていない。
ただただ嘘をついて二人きりで食事に行ったのが嫌だった。 とはいえ、仕事の付き合いで二人で食事に行くと事前に聞いていたとしてもモヤモヤしただろうけど
それが好きだから不安になるという気持ちだと知ったの。 しかしあんな喧嘩をした手前、自分からどう折れていいかも分からなかったのは私に恋愛経験がないせい。 …いや、私に人として問題があるせいかもしれない。
「海と一緒に居たら誰でも良い気分になるわ」
「アハハ、確かに。俺も付き合いやすいもん。
社長の息子だからって社員には距離を置かれているけれど、海は兄貴のように俺を慕ってくれる。
そういうの、嬉しいんだよな」
「分かる。」
あの人は人の肩書なんかで人をみない。 きちんと心を見てくれるから。
「それでまあ、今日は気を利かせてみたんだけど。
なんて言っても弟のような海の相談で、レナも俺にとっては妹みたいな存在だからさ。
まあ、俺的にはレナは一回啖呵を切っちまった手前素直になれないだけだろうと思うけど」
ぎくり。
そりゃあ、分かるか。
何十年もずっと一緒にいるのだ。私の性格はお見通しだ。