【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング

全部、北斗の言う通りだ。
一度意地を張ってしまったら、どう仲直りしていいか分からない。
そうやって時間を重ねるうちにますます気まずくなっていく事は分かっているのに。

「私は本当に駄目な女よね。 分かってるの、仕事だったことは。それにそれを秘密にしていたのも海なりの私への気遣いだって事も。
分かっているのにこんなに素直になれなくって…
実はあの日お父さんにお見合いの話を持ち掛けられて、海に相談してみようかなって思ってたから余計に意地になってしまって…
本当は私すごく自信がないの。海と出会って、あんなに素直で優しい人が私を好きになってくれて本当に嬉しいのに
毎日一緒に居る事がこんなに幸せなのに……
こんな私じゃあ、いつか海の方が呆れ返って嫌いになってしまうわよね。
ああー…どうして私ってこんなに素直じゃなくって意地っ張りなんだろう」

頭を抱えながらそう言うと、北斗は優しい笑顔のまま私のおちょこに熱燗を注ぐ。

「でも海はそういうレナの事が好きだって言ってたよ。
レナちゃんは素直じゃなくって意地っ張りで人には簡単に心を許さない高貴な猫みたいだって。
でもそういう所がいじらしくて放っておけないんだって。
自分がコンプレックスだと思っている所さえ愛してくれる人がいるのは幸せな事だよね。
でもレナもほんのちょこっとだけ勇気を出して、素直になってみな」

「うん……」

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