【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
どちらかといえば私の方がお姉さんっぽいって思ってたのに、やっぱり北斗は年上だ。
居酒屋から出ると、北斗は私をタクシーに乗せた。
こうやって家に送ってくれるのもいつしか海の役目になっていた。 てっきりマンション前まで送ってくれると思っていたのに、何故か着いた先は海のマンション前だった。
とはいっても私と海のマンションは目と鼻の先なのだけど。
私をタクシーから降ろすと、北斗は窓を開けて「きちんと今から話に行く事。」と釘を刺した。
誰かに背中を押されないとまた一人でいじいじと考えだしていじけてしまうだけだったから、北斗のお節介はある意味有難かった。
その勢いのまま海のマンションの扉の前に来たけれど、一向にインターホンを押す事は出来なかった。
指を伸ばしては止まっての繰り返し。 ご近所の人に見られたら軽く不審者だ。
でもこれでこのまま引き下がって帰ってしまったら、北斗の好意を無駄にしてしまう。 大きく息を吸ってゆっくりと吐くと、勇気を出してインターホンを押す。
中からガタンっと何かが落ちる音が響いて、直ぐにドタバタと家の中を走る音が聴こえた。
扉を開けた海は、いつになく困惑した顔を見せた。
「れ、レナちゃ……!」
「…今中からすごい音したけど…」