【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
「は…!それとも仕事に生きたいという事か?
確かにレナ程に優秀な子ならば、そんじょそこらの男性ではレベルが違い過ぎて相手にもならないのは理解出来る。
でもどうだろう、レナ。会ってみたら案外レナも気に入るかもしれない」
父がちょっぴり暴走気味なのは周知の事実。特に娘たちの事になればなおさらだ。
ルナと白鳥翔の時だってひと悶着あった。 あの時は本当に白鳥翔の父の会社を潰す勢いだった。
父と白鳥翔の父親は幼き頃からの悪友だという。
そんな悪友の会社を私情で潰すまでは二人が交際するのに大反対ではあった。 結局は折れたのだが…。
「違うのよ。お父さん。私付き合っている人がいるの」
遠回しな言い方をしても父には通じない。はっきりとそう言うと電話越しの彼がフリーズするのが分かった。
30秒ほどの沈黙。 段々と荒い息づかいが聴こえてくる。
「もしもし…?お父さん?聞いてる?
私、付き合っている男性がいるの。 彼もお父さんに一度会いたいって言っているのだけど、いい?」
「…………」
「お父さん? お父さんってば!!」
ハァハァと荒い息づかいが聞こえる。 後ろで「竜馬さん?!」と母の父を呼ぶ声が響いた。