【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング

私の想いとは裏腹に海は呑気なものだった。 普通付き合っている女性の両親に会いに行く時は皆緊張してしまうのではないだろうか。

それを’楽しみ’だとはこいつは大物だ。
そしてそれを楽しみだと言って退ける海のおおらかさに私は救われている。
もしも私が男で海の立場ならこんな面倒な展開は避けたいものだ。

「父は…怒っていたわ…」

「そりゃそーじゃん。だってレナちゃんは跡取りだもんー
お父さんとしてはさ、会社を継ぐ人間としてはきちんとしている人がいいと思ってるんだよ。
親だから娘の心配するのは当たり前だよ。」

「違うわ。お父さんは昔からそういう人なの。ルナの時だってそうだった。ルナの気持ちは無視して、自分のお気に入りの北斗と結婚させようとした。」

「あはは~うける~じゃあ俺レナちゃんのお父さんのお気に入りになれるように頑張らなくっちゃ!」

「どうしてそんな前向きでいられるのよッッッ」

このポジティブさは見習いたい。
けれど父は一筋縄でいくような男ではない。
海に絶対失礼な事を言って、彼を傷つかせかねない。

< 236 / 295 >

この作品をシェア

pagetop