【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
社長に頼まれた通り午前は幾つかのアポイントメントを電話で取る。
電話とパソコンに交互に向き合っていたらあっという間にお昼になって、丁度ほっくんが取引先の打ち合わせから帰って来た。
俺はディスクから立ち上がり、直ぐにほっくんに声を掛けた。
「お疲れ。」
「あ、お疲れさま。外すっごく暑いよ。 スーツ着てたら汗びっしょりかいちゃった。 ふー、会社は涼しくっていいな」
「お疲れ様、はい。アイスコーヒー」
ほっくんへアイスコーヒーを渡すと、彼は頬を緩めて優しく微笑む。
うーーー…今日も癒し系だ。 その笑顔を見ると癒される。
身長が高くスタイルが良い。 阿久津社長とは全然違うふさふさの黒髪を短く切り揃え、整った顔立ちをした顔に浮かぶ汗をハンカチで拭う。
優しい性格が滲み出ているような顔立ち。 阿久津社長は少し団子鼻で目も細い。唇もぷっくりと厚く、それはそれでチャーミングな顔立ちと思うが、やはりほっくんには似ていない。
ほっくんは明らかに母親似だ。専業主婦であるという彼女とは一度だけ会った事がある。 整った顔立ちを見てほっくんは母親似なのだと直ぐに分かった。