【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング

「そうか………。  まあ、君がとても真面目な好青年だというのは今日会って話してみても分かる。
しかしレナと付き合っているというのならば話は別だ。
君の人間性がどうのこうのという問題ではない。
私は……レナには相応しい、それなりの人間と一緒になってもらいたいと思っている。
ちょうど今お見合い話も進んでいる。その上でハッキリと言いたいのだが、レナとの付き合いは今一度考え直して欲しい」

遠回しではなく、はっきりと言った。
それは私と海の付き合いは賛成しかねると言っているのだ。
父に対して苛々としてきて、身を乗り出そうとした時それも海によって制止された。

私達のお付き合いは賛成されていない。 そうハッキリと父が口にしたからピリピリとした空気が更に張り詰めたのが分かる。

あの白鳥翔さえ神妙な顔つきになり、話に耳を傾ける。
母とルナは困った顔をしっぱなしだ。


腕がわなわなと震えだす。 わざわざ海は挨拶をしにきたわけだ。 それをここまで頑なに受け入れない姿勢は一体何よ。

それに私に相応しい人間って一体何…? 私が相応しい人は私が決める。 それに私や桜栄家がどれだけ偉いのよ?!

私はきっと鬼の様な形相をしていたに違いない。 しかしそれとは対称的に海は穏やかな表情をしていた。 どうしてこの人はそんな優しい顔ばかり出来るのだろう。酷い事を言われているというのに…。
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