【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
「阿久津社長からも桜栄社長は娘さん達をとても大切にしていると聞いています。
それに今日お家に招待されて実際お会いして見てもそれは分かります。 桜栄社長のような方に育ててもらったのですから、レナさんもルナさんも素敵な女性になったのでしょうね。」
「いや…私は……」
「お見合いの話が進んでいる、というのはレナさんからも訊いております。
普通の家庭に育ってきた僕には分からないような世界がきっとあるのだと思います。 チェリーチョコレートカンパニーは大きな会社ですし。
けれども桜栄社長にレナさんとのお付き合いをもう一度考え直して欲しいと言われても、僕は考え直す事はないと思います」
穏やかな口調だったが、きっぱりと言い放った。 それは気持ちが良い位はっきりとした言葉だった。
「僕はレナさんとは別れるつもりもないし、将来の事も考えています。 ずっと一緒にいたい女性だとも思っています。
その上で今日お家に話をしにきました。 桜栄社長に何を言われても僕の気持ちは変わらないと思います。」
父の眉がぴくりと動き段々と険しい顔になっていく。 けれど私は海の言葉に嬉しさで胸がいっぱいだった。
父に何を言われても気持ちは変わる事がないと言ってくれた。
私だって同じ気持ちで、今日は覚悟を持ってきたつもりだ。