【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
「しかしルナ…お前まで翔くんの所に嫁に行って…レナは会社を継ぐ跡取りなわけで…」
「分からず屋のお父様なんてもう知らないですわ…!!!!
本当に駄目なおじいちゃんとお父さんですわね…!
おーよしよし、ヒナ泣かないで。大丈夫よ……」
ルナの言葉に相当応えたのか、父はそれ以上何も言わなくなってしまった。
泣き続けるヒナを困った顔をして見つめる父が、とても小さく見えた。 結局その日はそれ以上話にならなくって、海と私のお付き合いの件も私のお見合い話も保留になった。
改めて話をする場を設けると言うが、一体私達はこれからどうしたらいいのだろう。
帰り際、海は何ともないと言った顔をして「何となくこうなるのは予想していた」と言った。
呑気なもので白鳥翔やルナが庇ってくれた事が嬉しかったらしい。
そして何度も話し合えばいずれ分かってくれると私の方が励まされた。 父にハッキリと物事を言えない自分のふがいなさにへこんでいた所だ。
どちらにしても父に理解をしてもらう必要がある。 海が私が一人しかいないと言ってくれたように、私にとっても海しかいないのだ。
こうして何も話が進まないまま、秋の夜長は更けていくのだった。