【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
◇7◇ *SIDE海* 君しかいない。
◇7◇ *SIDE海* 君しかいない。
「毎年紅葉の時期は箱根の別荘に行っている。
小さい頃はレナとレナも一緒に。 よく阿久津社長の家族、北斗君ともいったものだ。」
桜栄家を訪れて一週間。
とにかく俺は忙しい桜栄社長に会いに行った。
’あんなわからずやだとは思わなかった。 お父さんとは絶交よ’とまるで子供の事をいうレナに隠れ、阿久津フーズファクトリーの仕事とかこつけて、それはそれは用もないのに顔を出すようにしていた。
俺とレナの交際は、阿久津社長の口添えもあったらしい。 それにほっくんまで俺の知らない所でフォローに回ってくれていたらしい。
桜栄社長はあの日家を訪れた時のような拒否は見せなかった。 寧ろ諦めの悪い俺には呆れ返っていて、ちょくちょく会いに来る俺を断絶する事はしなかった。
ぽつりぽつりとレナやルナちゃんの過去の話をしてくれるようになった。
自分で言うのもなんだが、人の心を開かせるのには長けている方だと思う。
悪く言えば八方美人で世渡り上手。 けれどいくら交際を反対されようと、娘の婚約者を勝手に決めるような父親であったとしても
俺は、桜栄社長自体の人間性は全然嫌いではなかった。 むしろ経営者としては尊敬に値する人物だ。