【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
顔を上げた桜栄社長はこちらをキッと睨み上げた。
思わず舌を出して苦笑いすると、彼は大きなため息を吐いた。
現在、仕事先のクライアントへの営業周り中。 用事を早めに終わらせチェリーチョコレートカンパニーの社長室にやってきた。
桜栄社長はちょうどお昼休憩中だ。 休憩とはいえ、パソコンを片手に何やら忙しそうではあったが、快く俺の訪問を受け入れてくれた…と信じたい。
阿久津フーズファクトリーの社長室とは雰囲気は全然違う。
きっちりと片付けられていて、ほぼ何も置いて居ないシンプルな空間だ。 社長は「また君か…」と言ったけれど、温かい珈琲を出してくれた。
「ほら、白鳥さんって口は悪いけれどルナちゃんやヒナちゃんを大切にしているのはすごく伝わってきますし
それにあの人、レナちゃんには意地悪ばっかり言うけれど、何だかんだ味方で居てくれるし
心根は優しい人だって伝わってきますよ」
「そんなの、君に言われなくたって分かってる」