【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング

豪華な露天風呂の先からは、ライトアップされた紅葉が一面に映し出される。

はらりと舞い落ちた落ち葉が湯銭で揺れていて、秋が深まるのを感じさせる。 入った時は貸し切りだったが、数分後桜栄社長がやって来た。

俺を見てぎょっとした顔をしたが、少し離れた場所で湯に腰をおろし深いため息をつく。

背中を向けていたが、レナと同じように疲れているように感じられた。 首を数回左右に振って、片手で凝り固まった肩を揉み込む。

白髪が数本混じった頭髪に、故郷の父親の背中が重なった。 後ろからゆっくりと近づき、その肩に触れる。

すると驚いたように体をビクつかせた。

「ッ!!  な、何をする?!私にそんな趣味はない!」

どんな趣味だよ。 俺にだって彼が思っているような趣味はない。
振り向いた桜栄社長はまるで汚い物でも見るかのように訝し気な瞳を揺らした。

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