【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
それだけ言うと、桜栄社長はゆっくりと立ち上がった。
露天風呂から出て行こうと扉に手を掛けて、一瞬止まる。
こちらをちらりと振り返って照れくさそうな顔をした。
「柚子ゼリーは君の分も包んでもらった。 さっきは食べ損ねただろう。 冷蔵庫に閉まってある。
明日レナが起きたら一緒に食べなさい。」
今まで聞いた中で一番優しい声色だった。
「ありがとうございます!!」
「フンッ。 君のお陰で大分肩が楽になった。 ありがとうな……」
ぶっきらぼうな言い方だったが、照れくさいのは十分に伝わった。
やはりレナと桜栄社長は親子だ。 よく似ている。
少しだけ桜栄社長と心が近づけた気がした旅行だった。
しかしその数週間後、もっと驚くような話が俺を待ち構えていたのだ。