【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング

予定日より三日早くこの世に誕生した新しい命は、男の子だった。 桜栄社長は性別を知った時大層喜んでいたが、俺的には男の子でも女の子でもどちらでも良かった。

病院で抱っこをさせて貰った時は、小さすぎてビビった。

大きな瞳を瞬かせて小さな手が俺の指を掴んだ時、どうしようもない程の愛しさが溢れて
少しだけ泣いてしまった。 それは初めて感じる不思議な感情だ。 新たに守る物を見つけた時、人はきっと強くなれるのだろう。


名前は’青空’(ソラ)が良いとレナちゃんが名付けてくれた。 海と青空って素敵じゃない?と生まれた赤ん坊を見て、笑った彼女の横顔はとても穏やかだった。

俺も良い名前だと思う。

海に差し込む真っ新な青空のように、これから俺達の希望になってくれるに違いない。

胸の中大きく泣き出した青空に困ったようで、桜栄社長が俺へと優しく預けてくる。
俺の胸に抱かれた青空はぴたりと泣くのを止めて、キャッキャッと笑いだした。
その姿にちょっぴり桜栄社長は悔しそうだ。

「あらあら、やっぱりお父さんの方がいいのね。」

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