【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
「……とりあえず家に来れば?」
「はぁ?!」
親切心で言ったつもりが、どうやら違う解釈で受け取ったらしい。
鞄の中に手を突っ込んだまま、こちらを見上げた。 そのアーモンド形の瞳に不審な色を映す。
「結構よ。あんたの家なんて……。」
「いや、雨も酷くなってきちゃったしさ。 取り合えず一旦避難して落ち着いて鍵探してみよ?
もし見つからなかったら鍵の業者に連絡したり俺の家ですればいいんだし。
ちょっとちょっと、まさかやましい事なんか考えちゃいないってば。 困ったときはお互い様だよ。偶然にもマンションは近いし」
「でも………」
うーんと少しだけ考えたレナは今度は申し訳なさそうな表情でこちらを見上げた。 いつもつりあがっている瞳がほんの僅かに垂れ下がっている。
「遠慮しないで。それに夜女の子が一人でうろちょろしてたら危ないよ。」