【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
「じゃあ……少しだけお邪魔させてもらうわ…。
本当に申し訳ない。 鍵を失くすなんてドジ生まれて初めてしちゃったわ…」
「はいはい~じゃあ雨に濡れちゃうから早く行こうね」
「ちょっと、荷物は持つからいいってば!」
「いいからいいから。君が持つより俺が持った方が早いでしょう」
傘とスーパーの袋を手にして歩き出すと、やはりレナは少し不服そうに頬を膨らませた。
可愛いの。
本当に君は可愛い女の子だ。 人に甘えるのも苦手で、何でも自分一人で解決しようとして。
そしてこんなラッキーアクシデントは願ってもない幸福だ。
一つの傘で二人相合傘。
レナは俺と少し距離をとって歩く。そのせいでカーディガンの肩が濡れている。
恋愛の達人なんて絶対に嘘に決まっている。 男と相合傘する位でこんなに戸惑う君なのだから。
雨もいいものだな。 レナが濡れないように少しだけ傘を傾けると、彼女はそれに気が付いたようで頼りない表情でこちらを見やる。
そして雨音にかき消されそうなほど小さな声で「ありがとう」と言ったのだ。
やっぱり君はとても可愛い女だと思う。