【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
面倒見の良い男だ。 私なんてない鍵を探しては焦ってばかりだったのに、その間に冷静に業者さんを探してくれていたとは…。
しかし二時間か…。 男性と密室で二時間時間を過ごすのは、恋愛未経験者には中々キツイ。
しかし当の本人である海は呑気なもので、ソファーに座るとテレビのバラエティー番組に目を向けげらげらと笑いだした。
私はいつ何が起こるか分からずに、さっきから心臓が上下に激しく動いている。 …これが経験の差だというのだろうか。
「レナちゃん、お腹空かない?」
「そういえば…」
「俺めっちゃお腹すいたー。ピザかなんかデリバリーしようか?
レナちゃんの好きな物何でも奢るよー」
「いや、でもそれは…」
ただでさえ世話になっている身にも関わらず何から何までしてもらうのは申し訳ない。
ちらりと鞄の横に置いてあるスーパーの袋に目が行く。
「駄目じゃなければキッチンを借りれれば、私何かを作るけれど…」
大きな目を更に大きくさせ、パアっと幸福そうな笑みを浮かべる。
やはりその顔は、ルナの家で飼っているあの大型犬によく似ていた。