【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
「へー、三兄弟なの。賑やかねぇ。そういえば、どこ生まれなの?」
「東北の田舎の方だよー。東京生まれのレナちゃんにはびっくりしちゃうんじゃないかな?
とーちゃんもレナちゃんのお父さんのような立派な会社の人間じゃなくってただの農家の百姓だし」
人懐っこいオーラはその時に身に着けてきたものかもしれない。
海を田舎臭い男だとは思った事はない。 寧ろ都会に馴染んでいるように見えた。
けれども時折見せるふんわりとした優し気なオーラには、東北の田舎町を過らせる。
「あら、そんな風に言うもんじゃないわよ。 私は田舎も好きだし、農家の人も立派な仕事だと思ってる。
私達が美味しい農作物を食べれるのは彼らが汗水垂らして働いてくれているお陰だわ」
私の言葉にやはり海は真っ黒の澄んだ瞳を瞬かせて笑った。 ジュージューとお肉の焼ける音がフライパンから溢れ、良い匂いが鼻を掠める。
思わず気が緩み笑みが自然と零れ落ちる。 すると海は後ろから私の顔を覗き込むようにして意外そうに眼をぱちくりとさせる。
「何…?」
「いやあ、レナちゃんが俺に笑ってくれたの初めてかなあって嬉しくって」
「私って普段そんな仏頂面?」
「ほっくんの前ではよく笑うけど、俺の事はいつも不審者みたいな目で見てくる……」