【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
不審者。 いやいや、まさか北斗の部下を不審者と思って見た事はない。 海に良いイメージがなかったのは事実だけど…。
けれど人にそんな印象を与えてしまう自分には反省したい。
私は嫌な事はすぐ顔に出るし、言いたい事はハッキリと言ってしまう。そのせいで学生時代友人と軽く揉めた事もある。
楽しくないのに笑えないし取り繕えない。 それが致命的だと気が付いたのは社会人になってからだ。 社会人は自分の感情の好き嫌いで動いてはいけない。 そう理解してからはマシになったつもりでいたが、プライベートではまだまだだ。
そう考えるとルナは物凄い特技を持っている。 あの子はいつだってニコニコと笑っていて、人に怒ったり文句を言ったりした事がないのだ。
そんな事を考えながらもお肉を焼きながらも、お鍋に入っているお味噌汁の中に豆腐を入れていく。
隣に立っている海は相変わらずキラキラとした瞳をキッチンに向け、私の手元を見つめている。 やっぱりご飯を待っている大型犬のようだ。
「不審者だとは思っていないわ。 あんたって犬に似てるのよね」
「犬?? ワンッ!」
犬の鳴き声の真似をした海は、両手をグーにしてこちらへ差し出し犬の様に舌を出した。
思わず笑ってしまう。