【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング

「ちょっと…プライドってもんはないの?」

「飾るだけのプライドは持たない主義なんで。 ワン!
レナちゃんって犬を飼っているの?」

「ううん。私が飼っているんじゃなくって、妹が飼ってるの」

’妹’と口出すと、一瞬海は神妙な面持ちをする。

「妹ってほっくんの事を婚約直前で振って他の男と逃げたって噂の?」

海の話はかなり湾曲されている。 北斗がまさかルナについてそんな説明をする訳がない。

「そんなんじゃないわよ。 人の妹に対してどういう言い草よ。 あれは仕方が無かった事なの!
その妹が実家に居る頃から飼っている犬なんだけど、大型犬であんたそっくりなのよ。
誰にでも尻尾を振って懐く馬鹿犬よ。」

私の言葉に海は唇を尖らせて拗ねた素振りを見せる。 ふっとまた笑みがこみ上げる。

ジュリエットは本当に馬鹿犬だ。 誰にでも尻尾を振って懐いて、こんな私にも澱みのない純粋な感情をぶつけ、可愛がってくれと強請る。

犬は馬鹿だけど、嫌いじゃない。 可愛いとも思う。

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