【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング

「誰にでも懐かないワン」

「馬鹿犬だけど……犬は嫌いじゃないわ。
そろそろご飯が出来る。
海、ハウス!」

そう言ってソファーの上に人差し指を向けると、海はまるで本物の犬のように急いでソファーに駆け出した。

そしてこちらへとふにゃあっとした柔らかい笑顔を向けた。  ちなみにジュリエットは雌犬だが、そんな事は今はどうでも良い。

「うまあーい。めっちゃうまー。 レナちゃんってやっぱり何でも出来るなあ」

今日の夕ご飯にしようと思っていた生姜焼きと豆腐の味噌汁。

一人分の食材を買うのは経済的にも良くないし、スーパーで売っているお肉はファミリー向けの方がお得になっている。

余ったらお肉は冷凍しておくつもりだった。 海は何度も’美味しい’と繰り返しぺろりと出したご飯を平らげてしまう。

いつも家では一人でご飯を食べる。 悪くない。こういうのも。 少しだけ昔を思い出す。実家に居た時に家族で食卓を囲んでいた頃の記憶を。

「こういう事してくれる彼女はいないの?」

「いるわけないでしょう。俺レナちゃんが好きなのにさー」

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