【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
レナはお嬢様育ちだが、お嬢様と言われるのを毛嫌いしていた。
チェリーチョコレートカンパニーのご令嬢だから、幼い頃から高級なディナーには行き慣れていたかと思う。 俺だってもう大人で、そういった場所に女性を連れて行きエスコートする事位は出来る。
けれど彼女が行きたいと言ったのは、ごくごく一般的な大衆居酒屋だった。
ほっくんと三人で飲みに行く時も決して高いお店には行かなかった。
二人とも俺に気を遣ってくれているのかなとも思ったけど、ほっくんはいつも「お金持ちなのは親だ」と言って、好んで大衆居酒屋に付き合ってくれた。
その価値観はどうやらレナも一緒らしい。
「今日は案外良い休日だったわ」
運ばれてきたビールを半分まで豪快に飲み干すと、満足気にそう言った。
その言葉を聞いて、心から安心した。 俺だって不安がないわけじゃない。 レナを喜ばせる事や彼女が望むデートプラン。かなり悩んだりしたものだ。
「喜んでもらえて良かった。」