【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング

北斗も’確かに’じゃないのよ。  半年ほど前から北斗と飲みに行くとくっついてくるようになったのがこいつ、相馬(ソウマ) 海だ。

北斗の父親の会社である阿久津フーズファクトリーの社長室で働いている25歳。 一流大学出で北斗の父親も大変お気に入りらしく、今は社長室で北斗の父親の秘書として働いている。

そして北斗の事をほっくんと呼び慕い、北斗も北斗で海を気に入って仲良くしている。

軽薄で馴れ馴れしい性格。 人の懐にするりと入り込む人懐っこい性格。 北斗と並ぶと子供みたいな顔をしているくせに、典型的な犬顔で甘いマスク。顔にまで軽薄そうな性格が滲み出ている。

私はこの手のタイプの男が昔から苦手だ。  へらへらとして人の心を見透かしたような発言をたまにする。 タイプは違うけれど白鳥 翔同様苦手な類の人種である。

「俺生ビールね。 ほっくんとレナちゃんはどうする?」

「あ、じゃあ俺も生にする。」

「レナちゃんも生でいい?」

人懐っこい犬の様な笑顔を向ける。 無言のまま頷くと、店内に響く明るい声で店員さんを呼ぶ。

明るくて気さくなのは結構な事よ。 確かに海がいると場が和むし、トークは楽しいのだろう。 その証拠に北斗は隣でにこにこと上機嫌だ。

それでもやっぱり私はこの人が苦手。 きちんと苦手なのにも理由がある。

< 9 / 295 >

この作品をシェア

pagetop