独占欲が止まらない。クールな社長の裏の顔。
「お待たせいたしました。御堂コーポレーション社長室でございます。」

「Hola!
 Póngame con presidente?」

「… Please , Please wait a minute.」

『深山さーん!早く来て!!!英語じゃないことは確か!何言ってらっしゃるのかわからない!』

電話に出た先輩から声がかかる。
先輩も英語なら堪能だが他はダメなためこんな時に私はいるようなもの。
代わりますね、と伝え受話器を受け取った。

「Discúlpame por hacerte esperar」

私が内容をお伺いし電話を切った。
最近お付き合いがあるのはスペインの方だった、と思い応対するとやはりアレハンドロさんだった。

私、深山凛(みやまりん)はこの御堂コーポレーション社長室で秘書として働き2年目。
とにかくのんびりしている、要領が悪い、ミスが多い。こんな私がここで働けているのは唯一の自慢である語学のおかげ。

私はクォーター。おじいちゃんが日本人、おばあちゃんがアルゼンチン。パパがスイス、ママが日本。そのため英語、スペイン語、ドイツ語、少しだけフランス語が話せる。

でも自慢できることはそれだけ…何かやれば必ず失敗する。仕事ができるようになりたくて頑張るが、頑張れば頑張るほど努力は裏面に出てしまう。
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