独占欲が止まらない。クールな社長の裏の顔。
30分後、突然明かりがついた。

た、たすかった〜

眩しさに目が眩み、ただ目を覆おうとするが社長の手も引っ張ってしまった。  
あ、繋いでもらってたんだった。

一気に恥ずかしさが込み上げ、慌てて手を引いた。さっきとは違いすぐに離れた。

エレベーターは動き出し1階ではメンテナンスのスタッフと中条さんが立っていた。

私は中条さんの手を握り、
「ありがとうございました。中条さんは私の命の恩人です。生涯決して忘れません。ありがとうございました。」
というと呆れ顔の中条さんからは

「またあなたですか。メンテナンスすると随分前から書いてましたよね?どうしてあなたはいつもいつも忘れてしまうんですか。」
と怒られてしまった。

私の涙は引き、現実へと戻された。

「ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした!」
と直角に腰を折り謝罪すると呆れ顔の中条さんは社長にも
「あなたもですよ、社長。メンテナンスの事は今朝もお伝えいたしましたよね。」

「ああ。すまない。考え事をしてたらうっかりのってしまって…」

「さぁ、もう遅いです。早く帰ってください。メンテナンスの方にも迷惑ですからね。」

そういい中条さんに追い立てられた。
私はエレベーターの中のジャケットを軽くはたき、社長にクリーニングに出させて欲しいとお願いしたがそんなこと気にすることじゃない、とジャケットを奪われてしまった。
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