独占欲が止まらない。クールな社長の裏の顔。
本社ビルを出ると急に空腹に襲われた。

きゅるるるるるる…

「あはははは…今日は笑わせてくれてばかりだな、深山。」

私は赤くなりながら
「大変お聞き苦しい音をお聞かせしてしまって申し訳ございません。私はこれで失礼させていただきます。」
逃げるように言うと社長に手首を掴まれた。

「俺も腹が減った。このまま食べにいこう。」
そういい引きずられるように近くにあるイタリアンに連れて行かれた。中条さんはすり抜けるように、逃げるように、帰ってしまったため社長と2人きり。向かい合わせるように座る。

お疲れ様、と2人でワイングラスを重ねる。
はぁ〜とため息が漏れてしまう。
社長は好き嫌いがないことを確認するとオススメのものをどんどんオーダーしてしまう。こんなに食べられないんじゃ、と思うがいざ運ばれてくるとあまりの美味しさについ無言で食べてしまった。

やっちゃった…美味しいものに目がない私はつい社長がいることも忘れ、サーブもせず食べてしまった。

「申し訳ございません!」

「?なにが?」

「私ったら社長にサーブもせず食べてしまいました。」
恥ずかしさのあまり顔を上げられないでいると、
「なんだそれ。温かい物をすぐに食べないでどうするんだよ。それに女がサーブするって誰が決めたんだよ。バカなこと言ってないでさっさと食え。」

社長は気にすることなくピザをとりどんどん食べていく。その様子に安心していたら、

「おい、無くなるぞ」

「あぁ、その生ハムの乗ったの食べたいです。取らないでください。」

「ほらほら、食っとけ食っとけ」

あんなに怖い思いをしたのになんだかお腹が満たされお酒が入ったこともありウトウトしてしまった。

「おい、寝るな!」
マジかよ…と言う声が遠くで聞こえたような気がした。
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