コスパ婚
「僕と結婚してください」
「は????????」
頭がはてなマークでいっぱいになる。
あれ?今私プロポーズされた?
今の話、そんな流れだった?
「え、ちょ、とりあえず一旦落ち着こう?」
「僕は至って冷静ですけど」
再びデスクにすわってコーヒーを飲む。
あれ?今私プロポーズされたんだよな?
婚活サイトに登録したら、隣の席の後輩くんとマッチングして、黙っててやるから結婚しろって言われて…。
「脅迫じゃん!!?」
「違います」
と冷静にツッコまれた。
優しくて頼りになるいい子だな〜と思っていたらとんでもない野郎だった。
不潔!ケダモノ!鬼!と批判の目で見ていたら、彼はPCを開き爆速で書類を作成し印刷した一枚の紙を持ってきた。
「これは契約です。僕もこの条件に合う結婚相手を探してたんです」
紙にはこう書かれていた。
一、結婚しても別居であること。
ニ、お互いに恋愛感情を持たないこと。
三、財産は別々に管理すること。
四、プライベートに干渉しないこと。
五、絶対に口外しないこと。
「流石にこの条件で登録は出来ないので、公私ともに自立した女性を探してたんです」
「そしたら私がマッチングした、と」
やっと合点がいった。
確かに私も彼と似たような条件で登録していた。
絶対に夫婦別々の部屋で、出来れば性欲の全くない男性を希望と。
そんな聖人君子みたいな男いるのか??と思っていたけどいた。目の前に。
「あのー、つかぬことを伺っても?」
「どうぞ」
思わず湧いた疑問に挙手をする。
「ゲイの方ですか?それともED?」
「違います」
「じゃあ、潔癖症?」
「いえ」
彼がここまでして結婚するメリットがわからなかった。
じゃあ一体、何の為に結婚相手を探しているんだ?
「結婚すると、めちゃくちゃコスパがいいんです」
「コスパ」
思いも寄らない単語が出て、思わず鸚鵡返ししてしまう。
「僕って、顔も良いし、そこそこお金持ってるんで色んな女性が寄ってくるんですよ」
「はぁ」
何だこいつ??ぶん殴りてぇな????
と世の女性の大半が思っていそうな台詞だったが、それを真顔で言うのでツッコむ気も失せてしまう。
「でも結婚するだけで社会的地位も確立されて、いろんな面倒臭いことから開放されるじゃないですか。だけどそこに恋愛感情が絡むから余計にややこしくなる」
確かに、と思った。
恋愛感情があるからこそ人は結婚するが、恋愛感情のせいで揉めたりもする。好きだ嫌いだ惚れた腫れたで一気に結婚の難易度が上がる。勿論離婚のハードルも下がる。
「だから、半永久的に結婚という名の“契約”を守れるパートナーを探していたんです。それがあなただ」
正直、「あなたが好きです」と言われるより嬉しかった。
この体質のせいで恋愛はおろか一生結婚なんて出来ないと思っていた。
ずっと独身でいることを誰かに言われ笑われながら生きていかなきゃならないと思っていた。
でもこの人となら、自分を偽ることなくありのままの自分で生きていけると思った。
だがやはり、まだ腑に落ちない。
「本当にいいの?私で。あなただったら契約結婚でもいいって人いそうだけど」
「上司と部下の社内恋愛からの結婚ってよくあるじゃないですか。それに、」
周りに“恋愛経験ゼロ”だって知られたくないですよね?
ボソッと呟かれた言葉にズザザザと後ずさる。何でこの人それを知って…!?
「これからよろしくお願いしますね?泉さん」
「はい…」
どうやら、最初から拒否権なんて無かったようです…。
「は????????」
頭がはてなマークでいっぱいになる。
あれ?今私プロポーズされた?
今の話、そんな流れだった?
「え、ちょ、とりあえず一旦落ち着こう?」
「僕は至って冷静ですけど」
再びデスクにすわってコーヒーを飲む。
あれ?今私プロポーズされたんだよな?
婚活サイトに登録したら、隣の席の後輩くんとマッチングして、黙っててやるから結婚しろって言われて…。
「脅迫じゃん!!?」
「違います」
と冷静にツッコまれた。
優しくて頼りになるいい子だな〜と思っていたらとんでもない野郎だった。
不潔!ケダモノ!鬼!と批判の目で見ていたら、彼はPCを開き爆速で書類を作成し印刷した一枚の紙を持ってきた。
「これは契約です。僕もこの条件に合う結婚相手を探してたんです」
紙にはこう書かれていた。
一、結婚しても別居であること。
ニ、お互いに恋愛感情を持たないこと。
三、財産は別々に管理すること。
四、プライベートに干渉しないこと。
五、絶対に口外しないこと。
「流石にこの条件で登録は出来ないので、公私ともに自立した女性を探してたんです」
「そしたら私がマッチングした、と」
やっと合点がいった。
確かに私も彼と似たような条件で登録していた。
絶対に夫婦別々の部屋で、出来れば性欲の全くない男性を希望と。
そんな聖人君子みたいな男いるのか??と思っていたけどいた。目の前に。
「あのー、つかぬことを伺っても?」
「どうぞ」
思わず湧いた疑問に挙手をする。
「ゲイの方ですか?それともED?」
「違います」
「じゃあ、潔癖症?」
「いえ」
彼がここまでして結婚するメリットがわからなかった。
じゃあ一体、何の為に結婚相手を探しているんだ?
「結婚すると、めちゃくちゃコスパがいいんです」
「コスパ」
思いも寄らない単語が出て、思わず鸚鵡返ししてしまう。
「僕って、顔も良いし、そこそこお金持ってるんで色んな女性が寄ってくるんですよ」
「はぁ」
何だこいつ??ぶん殴りてぇな????
と世の女性の大半が思っていそうな台詞だったが、それを真顔で言うのでツッコむ気も失せてしまう。
「でも結婚するだけで社会的地位も確立されて、いろんな面倒臭いことから開放されるじゃないですか。だけどそこに恋愛感情が絡むから余計にややこしくなる」
確かに、と思った。
恋愛感情があるからこそ人は結婚するが、恋愛感情のせいで揉めたりもする。好きだ嫌いだ惚れた腫れたで一気に結婚の難易度が上がる。勿論離婚のハードルも下がる。
「だから、半永久的に結婚という名の“契約”を守れるパートナーを探していたんです。それがあなただ」
正直、「あなたが好きです」と言われるより嬉しかった。
この体質のせいで恋愛はおろか一生結婚なんて出来ないと思っていた。
ずっと独身でいることを誰かに言われ笑われながら生きていかなきゃならないと思っていた。
でもこの人となら、自分を偽ることなくありのままの自分で生きていけると思った。
だがやはり、まだ腑に落ちない。
「本当にいいの?私で。あなただったら契約結婚でもいいって人いそうだけど」
「上司と部下の社内恋愛からの結婚ってよくあるじゃないですか。それに、」
周りに“恋愛経験ゼロ”だって知られたくないですよね?
ボソッと呟かれた言葉にズザザザと後ずさる。何でこの人それを知って…!?
「これからよろしくお願いしますね?泉さん」
「はい…」
どうやら、最初から拒否権なんて無かったようです…。