入れかわりクラスカースト
「──えっ?」
「だから、いじめられるほうが悪いの」
優しく肩を抱く先生の手が、冷たく感じられた。
凍てつくくらいに冷たく。
「先生、すぐに大人に頼るのはどうかと思うな」
「で、でも今、味方って──」
「まずはあなたが努力しないと」
「…努力?」
「そう、いじめられない努力」
相変わらず微笑みながら、私に教えてくれたんだ。
いじめられないように努力することの大切さを。
「まず、少し小汚いわ。毎日ちゃんとお風呂に入ってる?髪の毛もトリートメントしないと、バサバサして暗い印象よ。猫背で目つきも悪いし、清潔感がないのよね」
その時、私はようやく気づいた。
どれだけ微笑んでいても、その目だけは笑っていないことに。
「今のままじゃ、いじめられて当然よ。もっと努力して自分を変えていかないと」
「……はい」
「分かってくれたらいいわ」
そう言うと、先生が私の手にハンカチを押し付けてきた。
「これ、あげるわ」
「えっ、でも…」
「もういらないから」
その後にきっと『あなたを拭いたから』と続くんだ。
ハンカチを握りしめ、しばらく私はその場に立ち尽くしていた。