入れかわりクラスカースト
確かに私は、先生のことを美香に相談をした。
ううん、美香にだけ相談したんだ。
あの時は2人きりだったし、夕子が盗み聞きするのは不可能。
なにかで夕子の耳に入ったのか?
それとも、本当に──?
私は、鬼気迫る夕子の顔をまじまじも見つめた。
「あの美香は偽物なの!私が本当の城崎美香なのよ!」
目を剥いて迫ってくる夕子が、どこか末恐ろしい。
「離してよ!」
思わず手を振り払うと、私はボックスを飛び出す。
途中まで追いかけてきていたが、すぐに諦めたようだ。
それにしても…。
夕子はずっと『私は美香だ!』と訴え続けている。
これまでは、どれだけいじめても黙っていたのに?
それから、ネットのこともまだ解決していない。
カンナのアカウントに入れるのは、パスワードを知っている私か美香だけ。
それ以外にカンナが誰かに教えていたのであれば話は変わってくるけど、もし2人だけなら?
私じゃないし、カンナが自分で自分を陥れるようなことはしないとなると、残るは美香しかいない。
でも、なんのために?
カンナを潰すため?
だからどうして?
いや、考えていても答えは出ない。
本人に聞くしかない。