入れかわりクラスカースト
ぴーぃ。
そんな無機質な音だけが、病室に流れていた。
「…えっ、美香?」
なぜか患者の顔には、枕が乗っている。
「美香!?」
駆け寄って枕を払いのけると、包帯で顔をぐるぐる巻きにされた夕子が──。
い、息してない!?
心電図が、水平線のように光っていた。
「そんな…」
どうしていいか分からず立ち尽くしていると、ドタドタと医者たちが雪崩れ込んでくる。
「心停止だ!蘇生を!」
慌ただしく活気付く病室かは、私はそっと抜け出す。
もう、美香の協力は得られない。
私がなんとかしないと。
私1人で──。
スマホでメッセージを送り、待ち合わせ場所に指定した学校に向かう。
部活の生徒たちがちらほら見える中、3階の誰もいない教室で待った。
なにも怖がる必要はない。
私はカーストのトップグループなんだ。
ううん、もう違う。
これまでのように、2番じゃない。
今日、これを機に私は本当のトップに上り詰める。
あの女さえも、その頭を足で踏みつけてやるんだ。
誰をいじめるのも私の自由。
全員が、私の足元にひれ伏す。
喉から手が出るほど欲しかった『女王の座』を手に入れる──。