入れかわりクラスカースト


ぴーぃ。


そんな無機質な音だけが、病室に流れていた。


「…えっ、美香?」


なぜか患者の顔には、枕が乗っている。


「美香!?」


駆け寄って枕を払いのけると、包帯で顔をぐるぐる巻きにされた夕子が──。


い、息してない!?


心電図が、水平線のように光っていた。


「そんな…」


どうしていいか分からず立ち尽くしていると、ドタドタと医者たちが雪崩れ込んでくる。


「心停止だ!蘇生を!」


慌ただしく活気付く病室かは、私はそっと抜け出す。


もう、美香の協力は得られない。


私がなんとかしないと。


私1人で──。


スマホでメッセージを送り、待ち合わせ場所に指定した学校に向かう。


部活の生徒たちがちらほら見える中、3階の誰もいない教室で待った。


なにも怖がる必要はない。


私はカーストのトップグループなんだ。


ううん、もう違う。


これまでのように、2番じゃない。


今日、これを機に私は本当のトップに上り詰める。


あの女さえも、その頭を足で踏みつけてやるんだ。


誰をいじめるのも私の自由。


全員が、私の足元にひれ伏す。


喉から手が出るほど欲しかった『女王の座』を手に入れる──。


< 147 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop