入れかわりクラスカースト
「こんなところに呼び出して、なんなの?」
教室に現れた美香は、西日に照らされて光り輝いていた。
やっぱり、とても綺麗だ。
でも、それも今日で終わる。
「夕子、もうやめにしない?」
ストレートにぶつけると、美香は鼻先で笑い飛ばす。
「まどか、まだそんなこと言ってるの?私が夕子だっていう証拠でもあるわけ?」
「私の誕生日を覚えていなかった。血液型は?」
「ごめんね。実は…あなたにさほど興味がないの」
「はぁー!?」
「あなたは友達だと思ってるかもしれないけど、ただの下僕だから」
「下僕…」
「私と張り合おうなんて、百万年早いわよ?」
美香が、この上なく妖艶に微笑む。
決定的な『差』を見せつけられても、その穴を埋める武器が私の手にはあった。
「なら、これはどう説明する?」
スマホの動画を再生し、美香の目の前に突き出してやる。
「それは…!」
「あんたが、夕子の病室から慌てて出てきた動画」
「だからなによ?」
「別にこれで、あんたが夕子だって証拠にはならない。でも、警察に渡すことはできる。きっと疑われるかもね。火事だって、調べ直すかもしれない」
今度は、私がほくそ笑む番だった。
そして美香は、明らかに動揺している。