入れかわりクラスカースト
これは夢か?
後ろを振り返ると、俯き加減の美香がおとなしくついてくる。
まるで、見えない鎖で引っ張られているように。
引っ張っているのは、もちろん俺だ。
今から飼い主は俺なんだ。
「早く入れよ」
家のドアを開けるが、美香はその場で尻込みしている。
「遠慮するなって。親は仕事でいない」
「やっぱり私、帰る!」
くるりと背中を向ける美香に「俺は止めないけど、動画は拡散する」とだけ言い捨て、家の中に入った。
待つこと30秒。
唇を噛み締めた美香が入ってくる。
2階の部屋に連れ込み、パソコンでひと仕事した後、俺はかつての飼い主様に言い放つ。
「服、脱げよ」
「えっ…?」
「あれ?聞こえなかった?もう一回しか言わない。今すぐ制服を脱げ」
「なに言ってんの?そんなこと──」
「脱げよ!」
大声を出しても、美香は俺のことを睨みつけてくる。
どこか馬鹿にしたような目で。
どちらが立場が上なのか、叩き込む必要がありそうだ。
もう俺は、飼い犬じゃない。
その白魚の様な手に噛みつき、今も牙を剥いている闘犬だ。
この女王様に、見えない首輪をプレゼントしてやろう。