入れかわりクラスカースト


夕子?


俺のことを好きだと言っていた。


美香に命令されて近づいて、キスまでしたけど…。


「誰があんな奴!キスも下手でさ。歯が当たるし震えてるし。俺の人生最大の汚点!あんな気持ち悪い奴とキスしたなんて。あの後、どれだけ歯磨きしたと思ってんだよ」


「…そうだよね、汚点だよね」


なぜか、美香の目がすーっと細くなる。


「火事になってちょうど良かったんじゃないの?あんな奴、生きてたって仕方ないんだから」


「そうね、私もそう思うわ」


「それより早く続きしようぜ!」


「でもね!」


迫った俺を押し戻し、美香が続ける。


「初めて恋をしたのよ」


「恋?」


「誰かを好きになる資格なんか無いと思ってた。私なんかが、誰かを好きになっちゃいけないって…」


「美香?どうしたんだよ?」


どこか遠くを見つめる美香の目から、一筋の涙が溢れる。


「だから嬉しかった。たった1人の味方だと思ったのに」


「なんでもいいから早くやろうって!」


強引に唇を押し当てようと──。


「あんたはクズよ」


「ぐっ…!」


目の前が真っ赤になる。


な、なにが起きた?


なにが…なにかがっ!?


激しく震える手で、痛みの元を探る…。





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