入れかわりクラスカースト
「あぁああああ!」
かすれた声しか出ない。
煙を多量に吸い込んだからか、それだけで肺が刺されたように痛む。
「しーっ、静かに」
人差し指を唇に当てる夕子が、にっこりと微笑む。
それは、私の顔だった。
私の顔なんだ!
自分のものを掴み取ろうと、震える手を伸ばす。
その手を、夕子にはたき落とされる──。
「やっぱり美香は凄いね。歩いてるだけで、皆んながひれ伏す。正真正銘の女王様なのよ」
「ゔゔっ…!」
獣の唸り声と歯ぎしり。
私ができるのは、それしかない。
今すぐ、この女を殺してやりたいのに!
私をこんな目に遭わせたこの女を、めった刺しにしてやりたいのにぃいいいいいー!
「そんなに怒ると、血管が切れるわよ?」
そう言って、夕子が私の枕をゆっくりと引き抜いた。
「今までずっと、カーストの底辺だった。あんた達にいじめられて、這いつくばってきたんだ。少しくらい、いい思いしたって罰は当たらないよね?」
「あぁああああー!」
「だから絶対に渡さない」
顔を覗き込んでいた夕子が、見えなくなった。
枕で顔を押さえつけられたんだ。