入れかわりクラスカースト
化け物?
それは__誰のこと?
ハサミを握りしめていた手で、恐る恐る顔を触る。
ぐにゅり。
あり得ない触り心地。
頬に触れただけなのに、ぐにょぐにょと痒みが走る。
「ひぃっ…ひっ!」
夕子が、泣いていた。
涙を流して怯えるその目に写っているのは、哀れみ。
ふと周りを見回すと、クラスメイトたちがどこか気の毒そうな眼差しを向けてくる。
この私を、哀れんでいる?
この私を!
「わ、私は美香よ?」
周囲に訴えるも、困った顔をして目をそむけるだけ。
「ばっ、ばっ…」
夕子が体を起こして逃げようとするけど、それよりも私には大事なことがあった。
「私が美香なの!」
周りに認めさせないと。
断じて、私は化け物なんかじゃない。
カーストトップの女王様なのだと。全ては夕子の仕業で──。
「ば、化け物!?」
夕子が、真っ直ぐ私を指差して叫ぶ。
その瞬間、私は持っていたハサミを振り下ろした。
夕子の首に突き刺したんだ。
「私は化け物なんかじゃない!」
ハサミを引き抜くと、血が勢いよく噴き出す。
ひっくり返る夕子に覆い被さるようにして、今度は胸に刃を埋めてやった。