入れかわりクラスカースト
私のせいじゃない!
ボールをぶつけた後も、夕子は美香たちに執拗にいじめられていたからだ。
「私は美香なのよ!」
そんな狂気めいた言葉を残して、学校に来なくなった。
どうしよう…。
どうしようどうしようどうしようどうしよう!
いじめのターゲットである夕子が居なくなったことで、あの地獄の日々が再び蘇ってくる。
また、いじめられる。
カースト底辺に突き落とされ、地べたを這いつくばる毎日がやってくるんだ。
そんなの嫌だ。
絶対に嫌!
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!
あいつらにいじめられるくらいなら、いっそ死んでしまおうか…。
そのほうが楽だ、いじめられるくらいなら。
美香たちとは目を合わせないよう、咄嗟に教室から逃げ出す。
そのまま階段を駆け上がって、屋上に飛び出した。
ここから飛び降りてしまえば、もういじめられることもない。
怯える必要も恐れる心配も、しなくていいんだ…。
遠くの雲に引き寄せられるように、屋上の柵を乗り越えて──。
その隅に、スマホが置いてある。
誰かの忘れ物だろうか?
死ぬことも忘れ、つい手に取った。