入れかわりクラスカースト
なぜか皆んなが、私を見ていた。
教室の真ん中でぽつんと1人、やっとありついたご飯に食らいつく私を。
「呑気に食べてんじゃないわよ!」
まどかが、お盆を払い落とす。
「どうせあんたが盗ったんでしょ?」
カンナは早くも動画で撮影をしていた。
「わ、わたし知らない!」
「あんたしか盗る奴いないじゃない」
美香が腕組みをして私を見下ろす目は、とても冷たくて。
「ほ、本当に知らない!」
「どうせ売って食費にでもしようと思ったんじゃないの?」
そう言って、まどかが私のカバンをひっくり返す。
「あれ、机の中にもないよ?」
カンナが美香を振り返る。
当たり前だ。
私は盗ってなんかいない。
「でも、あんた以外に考えられない」
「私じゃない!」
「それじゃ、証拠を見せなさいよ」
「えっ?」
「盗ってないっていう証拠を」
皆んなが、私と美香のやり取りを見つめている。
もちろん、誰も私を庇ってはくれない。
「ど、どうやって?」
「まだどこかに隠し持ってるかもしれないでしょ?」
「でももうどこにも隠すところなんか…」
「あるじゃない──服の中とかさ」
美香がにんまりと微笑んで言った。